外壁塗装の塗り替えは築10年から15年が目安
「自宅の外壁が色が褪せてきた、汚れが目立つようになった」
「壁を触るとチョークのような粉がつくようになった」
「壁の継ぎ目の塗膜が剥がれてしまっている」
「壁にちいさなひび割れが目立つようになってきて」
一戸建ての家屋が築10年にちかづくと、このような不安や悩みを抱えるようになります。
そのため外壁塗装の塗り替えは、築10年が目安と一般的にいわれています。
では、どうして築10年が目安になるのでしょうか。
そこには日本の気候と現代の住宅構造が関係しています。
日本は高温多湿であるため、もともとは石を土台にして縁の下を作り、風通しを良くするという構造でした。
しかし、現代ではコンクリートを基礎にしていることから、古い日本家屋のような縁の下がなくなり、住宅に使用している木材の劣化が進みやすくなったといわれています。
さらに現在では住宅の約8割が、窯業系サイディングボードを使っているといわれています。
窯業系サイディングボードの主成分は、セメントで防水性はありません。工場からの出荷時に防水塗装を施していますが、防水性能が期待できるのは7年から8年とされています。
外壁に使われる素材としてサイディングボードのほかにモルタルなどもありますが、防水加工を施したほとんどの外壁材も同じように7、8年が防水機能を期待できるめどだといわれています。
外壁材の防水機能が低下すると、風雨や紫外線による家屋のダメージが大きくなります。
外壁の色が褪せるのは、劣化が起こっている最初のサインだとされています。
劣化が進むと塗膜が剥がれてチョークのような粉が手に付くようになります。
この頃になると外壁の継ぎ目を埋めているシーリング材が剥離したり、外壁のあちこちにクラックをいわれるひび割れが生じたりするようになってきます。
外壁材の防水機能が切れたからといって、すぐにこのような状態になるわけではありません。
少しずつ、しかし着実に外壁材の劣化が進み、ひび割れから雨水が浸水するまで放置してしまうと、住宅そのものに取り返しのつかないダメージを与えることになってしまいます。
外装塗装のタイミングが築10年といわれているのは、このように外壁材の劣化がもたらす家屋へのダメージを未然に防ぐためとお考えください。
ただし、お住まいの地域や家屋の立地条件によっても、外壁塗装の塗り替え時期は変わってきます。
たとえば台風や豪雪に見舞われる地域であれば、それだけ外壁へのダメージが大きくなって劣化が進みやすくなります。
周囲に住宅が密集している家屋であれば、外壁に当たる風雨の影響が緩和されることもあり得ます。
そのため築10年を目安として、外壁の状態や予算を考慮しながら計画を立てて、築12年、築13年あたりまでに塗り替えを実行するのがいいかもしれません。
しかし、その期間も外壁材の劣化は進行しますので、最長でも築15年が塗り替え時期のリミットといえるでしょう。
外壁の塗り替え予算相場は120万円から130万円
外壁塗装の塗り替えを検討するうえで、いちばんの悩みとなるのが料金です。
いくらくらいの金額が相場なのかについては、多少の地域差はあるものの、おおむね100万円から150万円といわれています。
全国各地における外壁塗装の費用相場は、総務省の統計局が毎年取りまとめていますので、まずは居住地の相場をたしかめてみるのもいいかもしれません。しかし、100万円から150万円といったように料金の幅が見受けられるようです。
そこでリサーチを重ね、もう少し料金幅を狭めると、標準的な家屋であれば120万円から130万円が一般的な相場になっているようです。
ここで限られた予算を最大限に活かす方法として、外壁塗装と合わせて屋根塗装も同時に行うことです。
外壁も屋根も別々に塗り替えできますが、そうなるとその都度、足場を組むことになります。外壁と屋根を同時に行えば足場代が一回で済みますので、余分な費用がかからずに済みます。
屋根を加えた費用の相場は、外壁塗装の料金にプラス30万円から40万円といわれています。
築10年以上になると外壁だけではなく、確実に屋根も傷んできますので、外壁と屋根の塗り替えはセットが行うのがおすすめです。
また、塗り替えの費用については、お住まいの自治体によって助成金や補助金の制度を設けていることがあります。
これには条件があり、省エネや耐震のためなどを目的にした外壁塗装であれば、制度が適用できるなどさまざまです。
自治体によっては制度そのものを実施していないところもありますが、外壁塗装を検討されているのであれば、居住地の市役所などに問い合わせてみましょう。
ちなみに自治体から出る助成金や補助金の相場は、10万円から30万円程度が多いようです。
この他にも事前にチェックしておくべきなのが、火災保険です。
一般的に経年劣化による外壁の損傷は、火災保険の対象外となります。
火災保険は火災による被害を補償するものだからです。
しかし、台風や強風などによる「風災」、雹による「雹災」、豪雪などによる「雪災」などの自然災害が補償対象としてセットになっていることがあります。
近年はさまざまな自然災害が多発していますので、経年劣化だけではない瑕疵を外壁や屋根が被っている可能性もあり得ます。
外壁塗装業者によっては、予算を踏まえてこうした相談にも乗ってくれる優良業者もいますので、見積もり時に相談してみるのも大事なことです。
安心して任せることができる塗装業者の選び方
外壁塗装で予算と同じように頭を悩ませるのが、業者選びではないでしょうか。
まず、アポイントもなにもなく訪問してきた業者はNGです。
「こちらの近所で外壁塗装をしてる◯◯会社と申しますが、通りがかりに拝見したところ壁のひび割れがひどいようですね。壁の裏側に浸水してませんか?」
このように不安を煽って接近してくる業者は、まちがいなく悪質業者といえます。
もし、「ちょっと拝見させてもらってもいいですか?」といわれても、絶対にノーサンキューにしてください。
費用が相場よりも安いのも要注意です。
相見積もりを取ることになったとして、「キャンペーン期間中ですから、いまなら80万円で収めます」などの謳い文句にのせられてはいけません。
いざ施工がはじまると、次々とプラス料金が発生し、最終的には3倍、5倍どころか10倍の料金を請求されることだってあり得ます。
そこで安心して任せられる優良業者の選び方ですが、一般的にいわれているチェックポイントを以下にまとめてみました。
- 1,電話応対や営業マンの対応の良し悪し
- 2,質問に対して具体的な回答が得られるかどうか
- 3,相見積もりを取ることを嫌がらないか
- 4,これまでの施行実績を確認させてくれるかどうか
- 5,建築に関わる資格や許可を取得しているか
この他にも会社の年数が長いがどうかも判断材料になりますし、ネットで検索すればその会社の評判などもリサーチできます。
少なく見積もっても100万円以上の費用がかかるわけですから、業者に遠慮することなく、疑問や不明点があればどんどん質問したり、徹底的に調べたりするべきです。
たとえば、塗料メーカーを選べるのかどうかをたずねることも大事です。
かならずしも塗料メーカーを選択できるかどうかは業者によりますが、選べないなら選べない理由を説明してくれるはずです。
お客さまのことを第一に考えている業者であれば、親身になって対応してくれるはずですので、納得いくまで相談することをおすすめします。
また、見落としがちなのが、施工後に不備があった場合の補償があるかどうかです。優良業者であれば、補償についてもしっかりとケアしていますので、契約する前にかならずチェックするようにしましょう。
台風シーズンの後に外壁塗装が増える傾向にあり
最後にまとめとして、外壁塗装に適した時期を見ていきましょう。
一般的に外壁塗装に適した環境は、気温5度以上、湿度80%以下とされています。
ただし、作業期間中は窓を養生するため、室内の空気の入れ換えなどができなかったり、バルコニーに洗濯物を干したりもできなくなります。来客が重なる時期もできるだけ避けたいものです。
作業期間は10日から2週間が目安になりますが、生活サイクルも踏まえて施工時期を決めることも大事になってきます。
そこで外壁塗装の施工が多い時期を調べてみると、例年3月から5月、10月から11月にかけて多い傾向にあります。
特に10月から11月が多いのは、台風シーズンが影響していると考えられています。
台風がもたらす雨風の影響によって外壁の劣化が進んだり、いままで気がつかなかった瑕疵が見つかったりすることで、外壁塗装の必要性を意識するようになるようです。
また、10月から11月は、空気が乾燥していて塗料の定着が良く、気候も穏やかで施工がしやすい時期でもあります。
外壁塗装は家屋を守るために不可欠なことですが、それだけではありません。
外壁塗装をしてみるとよくわかりますが、自宅が新しく生まれ変わったかような新鮮な気持ちにもなります。
「家」とは、大切な家族と過ごすための大事な場所です。
外壁塗装を含めた適切なメンテナンスを重ねながら、家族との絆を紡いでいきましょう。