外壁塗装と合わせて、足場を活用できる屋根塗装も同時に依頼したいとお考えの方は多いのではないでしょうか。
一方でスレート屋根の一部の商品は、点検の結果、塗装ではなくカバー工法や葺き替えをすすめられるケースがあります。
これらの断られるスレート屋根は「ノンアスベスト屋根材」と呼ばれ、1990年代後半から2008年ころにかけて製造・販売された商品には、経年による層間剥離やひび割れ・欠けなどの不具合が多く報告されており、塗装によるメンテナンスを選択できない場合があるのが実情です。
そこで本記事では、塗装をお断りせざるを得ない屋根材の種類や不具合が起きる原因、塗装の代替えとなるカバー工法の選び方や注意点まで詳しく解説します。
自宅の屋根がノンアスベスト屋根材に該当するかどうかを把握し、適切なメンテナンス方法を選択するための参考にしてください。
スレート屋根とカラーベストの違い
本題に入る前に、記事内でたびたび登場する「スレート屋根」と「カラーベスト」という言葉の違いを整理しておきます。
「スレート」とは、薄い板状に成形した屋根材の総称です。天然の石を薄く加工した天然スレートと、セメントに繊維を混ぜて板状に成形した化粧スレート(人工スレート)に分かれますが、日本の戸建て住宅で普及しているスレート屋根のほとんどは後者の化粧スレートを指します。
一方の「カラーベスト」は、この化粧スレートを長年製造・販売してきたケイミュー株式会社(旧クボタ)の商品名(商標)です。あまりに広く普及したため、いつしかメーカーを問わず化粧スレート屋根材全般を指す通称としても使われるようになりました。
つまり「スレート屋根」は屋根材のカテゴリを表す言葉、「カラーベスト」はその中の一商品名という関係になります。ニチハの「パミール」やセキスイの「かわらU」なども、メーカーは異なりますが同じ化粧スレート系の屋根材です。今回取り上げるノンアスベスト屋根材も、このスレート屋根(化粧スレート)に分類される商品群にあたります。

塗装をお断りするスレート屋根(ノンアスベスト屋根材)ができた経緯
まずは、このような塗装出来ない屋根材がなぜ住宅の屋根に出回ってしまったのか、その経緯について解説していきます。
日本の屋根材として長く作られてきたのは、セメントに石綿(アスベスト)を混ぜて圧縮成型した”石綿スレート”というものです。断熱性・防火性・耐久性が高く、日本では多く普及しました。
しかし、1975年ころからアスベストが原因と考えられる悪性中皮腫や肺の繊維化・肺がんが多く報告され大きな社会問題となっていき、段階的に含有量が規制され、2004年に完全に規制がされました。建材メーカーは将来の規制を考えて1990年からアスベストを含まない製品の開発を行い、1990年後半に一斉に販売を開始しました。
1990年後半〜2004年頃までに製造・施工された屋根材は、アスベストを含まないノンアスベスト屋根材です。2004年以降も引き続きノンアスベスト屋根材が発売されています。しかし急にアスベストを使わない製品を開発したため、1990年後半から2008年ころまでに製造・販売されたこのノンアスベスト屋根材は、どの商品も耐久性に乏しく、8年~10年くらいすると不具合が多く報告されはじめ、生産中止となっています。
つまり1996年~2008年までに製造されたノンアスベスト屋根材(各メーカーによって販売期間は違います)が使われた戸建住宅では残念ながら、塗替え時に比較的安価なメンテナンスである塗装を選択できないという状況になってしまいました。
問題のあるノンアスベスト屋根材の種類と代表的な不具合
塗装をお断りする屋根材の種類と主な不具合は主に旧クボタ(現:KMEW)の製品やニチハのパミール、セキスイかわらUなどです。改善されて同じ名称で販売していた商品もありますので、あくまでもある一時期に販売されていた商品だけですが、築18年を超えているお宅の場合は、このノンアスベスト屋根材を使っている可能性があり、一度も塗替えをしていない場合は注意が必要です。
逆に築17年未満の家の場合はほとんどの場合は改善されたノンアスベスト屋根材が使われている可能性が高いと思います。
主な商品名と販売期間は下記の表に記載の通りです。
代表的なノンアスベスト屋根材の商品名と販売時期
| 主な商品名 | 販売期間(ノンアスベスト) | 多い不具合 |
|---|---|---|
| パミール(ニチハ) | 2001年~2008年 | 層間剥離 |
| コロニアルNEO(クボタ:現KMEW) | 1996年~2008年 | 割れ・欠け |
| ザルフグラッサ(クボタ:現KMEW) | 2001年~2006年前後 | 割れ・欠け |
| レサス(松下電工:現KMEW) | 1999年~2006年 | 割れ・欠け |
| セキスイかわらU(セキスイルーフテック:現積水屋根システム株式会社) | 1990年~2007年 | 割れ・欠け |
塗装できない(正確にはしない)屋根材として有名なのはニチハ株式会社が1996~2008年に製造したパミールと旧クボタのコロニアルと言われる商品だと思います。
まずパミールは、8年から10年くらいで、ミルフィーユの様にスレートの層が剥離をしてきます。
パミールは、薄い板を一枚ずつ重ね合わせ圧縮して水分を抜いていく抄造法(しょうぞうほう)という方法で製造されていました。そのため層間に剥離が発生しやすいのです。これはミルフィーユ現象とも呼ばれますが、表面から1枚ずつ剥がれてしまうことで屋根材の素地が露出してしまいます。
この製造方法の場合、表面の防水性の低下等で、それぞれの層に剥がれが生じてきてミルフィーユのようにサクサクになってきます。実際に10年~15年くらいたった劣化の激しいパミールの現場は上を歩くとサクサクとした感じが足に感じるくらいです。

次に旧クボタや旧松下電工製のコロニアルやレサスに関しては主に不規則に多い割れや欠けが発生します。
また一部の製品に関してはパミールほどではありませんが層剥離が起こる場合もあります。こちらのスレートも強度自体が弱くなっているので塗装で上を踏むことで割れがさらに増えるということが起きえます。
次にセキスイかわらUです。
セキスイのかわらUは独特の形状をしているので判断しやすいのですが、こちらも初期のノンアスベストタイプでは割れ・欠けを起こしやすくなっています。見分ける際には築年数から該当期間であるかどうかと、症状を見て判断することになります。形状がU型をしているので一般的なカバー工法という手法がとれない屋根材です。
かわらU専用のカバー工法用の部材も一部ありますが、費用は他の金属カバー屋根材より高額になりやすいです。そのためかわらUに関しては吹き替えの提案になります。
塗装をお断りする理由
実は5〜6年前までは塗装で対応していた業者も少なくありませんでした。しかし塗装後数年で剥離やひび割れなどの不具合が再発することがわかってきたため、ノンアスベスト屋根材だと判明した場合や、その疑いがある場合には塗装をお断りする業者が近年増えてきています。
そのため「屋根塗装を依頼したのに断られた」「カバー工法や葺き替えを勧められた」というご相談をいただく機会も増えました。カバー工法は塗装の倍以上の費用がかかることも多いため、「値段を上げたいから提案しているのでは」と疑問に思われる方も少なくないかもしれません。
なぜ一定の時期のノンアスベスト屋根材の塗装をお断りするのかをご説明したいと思います。理由は主に2点です。
1点目は、再度塗装をしても数年で剥離が発生する可能性が高いためです。まだ表層の層間剥離が起きていない状態で塗装ができれば別なのですが、すでに症状が起きている状態では、上から塗装をしたとしても密着せず、短期間で剥離が出てしまうので、そのことをご了承いただけない限り塗装をお断りすることになります。
2点目は破損防止と作業者の安全配慮です。屋根は例え足場を設置したとしても落下の危険が伴います。特にミルフィーユ現象が起こっている屋根や、欠けが多発している屋根材は強度不足で塗装のために上に乗るだけで割れる可能性が高くそれが原因で落下する危険性があります。また補修をしながら塗装をすることになるのですが、補修のために上に乗るたびに補修箇所が増えることが予想されるため、補修しきれません。特にかわらUは独特の形状もあってどうしても重量が集中して割れやすいので作業自体をお断りする可能性が高いです。塗装のご依頼をいただきながら申し訳ないとは思いますが、2つの点から塗装での補修と言う形は難しいことをご理解いただきたいと思います。決して値段を釣り上げたいから提案しているのではなく不具合がない塗装や作業員の安全が確保できないというやむを得ない判断です。
また、現在は既存スレート屋根の上に金属スレートを接着剤で貼る工法もありますがこれは、ミルフィーユ現象などが起こっている場合は接着剤が剥がれる可能性があり特に台風などで飛ぶ可能性もあるので危険なため施工はできません。
ただ、ご相談いただく中で、一定の業者は塗装可能という判断をするケースもあると聞くことがあります。
しかししっかりとアフターフォローをする業者ほどきっぱりと塗装できないと説明をすると思います。
塗装をすれば”後はどうなっても知らない”と言う業者だけが一定の時期のノンアスベスト屋根材を塗装できる、接着剤で貼るタイプの工法をカバー工法として勧めているケースもありますのでお気を付けください。
このような屋根材の場合、株式会社RESIA(リシア)ではカバー工法か葺き替えをご提案します。現時点でミルフィーユ現象や割れ・欠けが発生している場合は、雨漏れの懸念もあるので早急に対応が必要ですが、上記の理由で塗装をすることができないので、塗装より費用は掛かってしまうのですが、カバー工法での提案になります。
無料お見積りはこちらからカバー工法について
カバー工法は大きく分けると金属系のスレート型の屋根材を重ねるものと、アスファルトシングルと呼ばれているシート状のものを上から施工する方法があります。
工法としてはどちらとも、現状の屋根の上にルーフィングという防水シートを新たに設置し、その上に金属スレートかシートを新設する方法で行います。カバー工法は既存の屋根材の上に重ねる形になるので重量が軽い金属やシートが最適になります。吹き替えに比べて既存のスレートの処分費が必要ない分割安になります。また金属系のスレート屋根の場合、主にガルバニウム鋼板という金属が使われています。ガルバリウム鋼板はエアコンの室外機にも使われている素材で、非常に錆びにくく耐候性の高い素材なので、塗料よりは耐候性が高い場合が多く、メーカーによっては20年を超える錆保証や色保証をしているものもあります。
地域別の塗装とカバー工法の費用相場(神戸・横浜・千葉)
ノンアスベスト屋根材に該当する場合、塗装ではなくカバー工法や葺き替えでの費用がどれくらいになるのか気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは株式会社RESIA(リシア)の主要エリアである神戸・横浜・千葉における、一般的な戸建て住宅(30坪程度)の屋根塗装とカバー工法のおおよその費用相場を紹介します。
| 地域 | 屋根塗装の費用相場(屋根塗装のみ足場込み) | カバー工法の費用相場 |
|---|---|---|
| 神戸市 | 約70万〜120万円 | 約100万〜200万円 |
| 横浜市 | 約80万〜150万円 | 約120万〜220万円 |
| 千葉市 | 約90万〜160万円 | 約120万〜220万円 |
神戸エリアは屋根塗装のみで足場込みで約70万〜120万円程度、横浜・千葉エリアは塗装職人の金額差で千葉県の方が少し高くなります。一般的な戸建て住宅であれば約80万〜150万円程度が屋根塗装の目安です。ただし、屋根塗装のみをするケースは少ないかと思います。外壁塗装と同時の場合は足場費用や付帯部の共有で割安となり40万~70万円は安くなります。
一方カバー工法は、既存の屋根材の処分費がかからない分、神戸市は約100万〜200万円程度、横浜市・千葉市エリアでも約120万〜220万円程度が相場となります。
塗装と違い価格差が減るのは、カバー工法は塗装職人より板金職人が行うので相場観が変わるためです。
ただし実際の費用は、屋根の形状や勾配、劣化の程度、使用する屋根材の種類によって大きく変動するため、正確な金額は現地調査のうえでの見積もりが必要です。

選んではいけないカバー工法がある
残念ながらカバー工法は耐久性が高いというメリットはありますが、塗装に比べて非常に費用が高くなります。 そのような中で最近新しいカバー工法としてシール工法を使ったカバー工法が出てきました。
これは、一般的なカバー工法は、通常の屋根の施工の様に釘を使って新設するのに対して、既存の屋根材に接着剤使って接着する工法です。一般的なカバー工法と違ってルーフィングという防水シート等の作業が不要なのと、棟や板金を既存の物を使うので、費用も一般的なカバー工法の半分くらいになります。
費用が安いため、ノンアスベスト屋根材に提案する業者さんもいらっしゃるようですが、
パミールや一部旧クボタ製のようにミルフィーユ現象を起こしている屋根の場合は接着材が下まで浸透せず表面の層が剥がれて設置した屋根材が落下する可能性がありますので、
ちゃんとしている業者は提案しません。
この工法はアスベストが入った古い屋根材や2008年以降のスレート屋根材には費用が安くする有効な工法ではありますが、残念ながら一定期間のノンアスベスト屋根材には活用できません。
アスベストが含まれる屋根材の塗装は?
築25年以上のスレート屋根には、アスベストが含まれている可能性があります。法改正によりアスベストが含まれる部材の撤去や穴をあける作業等でアスベストの飛散の可能性がある場合は事前点検や作業時の安全基準の徹底が必要になりました。
ノンアスベスト屋根材の場合にはアスベストは含まれていないので問題はありませんが、建てられた年によって判断が変わります。塗装のみを実施する場合は飛散の可能性がないため良いのですが、葺き替えやカバー工法の施工の内容次第では、アスベスト調査費・対策費が必要になります。使われている屋根材や年代によって変わりますので現地調査や図面での確認が必要になります。
この事前調査は有資格者しか実施できないことになっています。株式会社RESIA(リシア)では事前調査から施工時のアスベスト対策まで実施しているため、安心してご相談いただけます。
無料お見積りはこちらからまとめ
ノンアスベスト屋根材は、各メーカーとも急いでアスベスト対策をした結果生み出された屋根材です。実際に不具合が出るまで7年~10年かかったので、10年くらいたってようやく問題に気が付きその後すぐに改良されましたが、その間に発売された屋根材は残念ながら塗装という安価な補修方法がとれないのが現状です。
今のところ各メーカーは製品としての不具合を認めておらず年数もたっていて経年劣化と言うことで補償する気配はありません。大変残念なのですが、まともな塗装業者では、塗装でなくカバー工法か葺き替えの提案になります。
株式会社RESIA(リシア)では、事前に屋根の状態をチェックしたうえで塗装の可否を判断し、葺き替えやカバー工法の中でも現状の屋根の状態に即した最適な工法を選定してご提案していますので、お気軽にご相談ください。

